パンクしても走れるランフラットタイヤとは?メリットデメリットを解説!

「ランフラットタイヤ」という言葉を聞いたことがありますか?近年では、ランフラットタイヤが日本でも標準装備されている車が販売されています。
よく耳にするのは、サマータイヤやノーマルタイヤ、ラジアルタイヤではないでしょうか?このランフラットタイヤは、「パンクしても一定の条件下なら走行可能」なタイヤのことです。
パンクしても走れるなら、「ランフラットタイヤに交換したい」と考える方はいるのではないでしょうか?しかし、ランフラットタイヤと言われても、日本ではまだなじみがないので、どんな性能のタイヤなのかわからない方が多いでしょう。
この記事ではパンクしても走れるランフラットタイヤとはどんな性能なのかや、メリット、デメリット、また使用する際の注意点を解説します。
ランフラットタイヤとは?

まずランフラットタイヤは、「タイヤの空気圧がなくなっても一定の条件下なら走行できるタイヤ」のことです。
タイヤの空気圧がなくなった場合の一定条件下の走行距離は、時速80kmで距離80kmの走行が可能なので、もし高速道路でパンクしても、次のサービスエリアまで走行できるので安心して運転できます。
時速80kmで距離80kmという基準は、IOS技術基準で定められた走行可能距離で、メーカーや、使用環境によって多少の誤差があります。
ランフラットタイヤの構造
ランフラットタイヤは、タイヤの側面に補強が入っており、パンクしても車自体のバランスが崩れず、一定の条件下なら走行可能です。そのためパンクしても走行できるのです。
ランフラットタイヤの寿命と交換時期はいつ?

ランフラットタイヤは、一般的なノーマルタイヤと同様に寿命が2万km〜4万kmが目安とされています。
ほかにも、目安とされていることが3つあります。
- スリップサイン
- 残り溝の深さ
- 使用期限
スリップサイン
タイヤの溝には、「スリップサイン」と呼ばれるゴムの突起物があり、このスリップサインはタイヤの残り溝の深さ1.6mmを示す目安で、1か所でもスリップサインが出ると使用できないと、法律で定められています。
ランフラットタイヤもノーマルタイヤと同様に、タイヤの残りの溝が1.6mm以下だと走行できません。
残り溝の深さ
上記ではスリップサインである残り溝が1.6mm以下だと使用が出来ないと解説しましたが、残り溝が1.6mm以上あった場合でも交換した方が良い場合があります。
タイヤは残り溝が4mm以下になるとタイヤの性能が落ち、制動距離が長くなります。
制動距離が長くなると、スリップやハイドロプレーニング現象が起こる可能性も高まるので、安全に使用できる寿命は残り溝4mmで、タイヤ交換の時期の目安にすると良いでしょう。残り溝以外にも、タイヤにヒビや割れがあった場合もタイヤ交換しましょう。
使用年度
タイヤのゴムは、使用頻度や使用環境に関わらず、時間の経過とともに劣化します。
使用開始から5年以上経過しているタイヤは、点検を受け必要に応じて交換すると良いでしょう。
ランフラットタイヤの見分け方

ランフラットタイヤとノーマルタイヤは、まったく同じタイヤに見えますが、タイヤの側面に刻印された記号やマークで判別できます。
ここでは、各メーカーのランフラットタイヤの記号を紹介します。
メーカー | 記号 |
ブリヂストン | RFT |
ミシュラン | ZP |
ダンロップ | DSST |
ヨコハマゴム | ZPS |
コンチネンタル | SSR |
トーヨー | TRF |
グッドイヤー | EMT |
ピレリ | r-f |
また、ブリヂストンには「ランフラットタイヤ」と「ランフラット・テクノロジー採用タイヤ」があり、その違いは、どちらも空気圧が無くなっても一定の条件下で走行できますが、ランフラット・テクノロジー採用タイヤの中でも、ISO規格を採用しているタイヤが「ランフラットタイヤ」で、刻印されている記号も違います。
これ以外に、ランフラットタイヤのシンボルマーク(IOS規格)の有無でも判別できます。
このように、同じランフラットタイヤでも各メーカーによって刻印されている記号が違うので、注意して見てください。
ランフラットタイヤのメリットとデメリット

ランフラットタイヤのメリットとデメリットを紹介します。
メリット
ランフラットタイヤのメリットとして3つ挙げられます。
- 空気圧が無くても走行できる
- スペアタイヤが不要
- 環境に優しい
空気圧が無くても走行できる
タイヤのパンクトラブルは年々増えており、とくに高速道路上でパンクした場合には。大きな事故につながる危険性があります。
ノーマルタイヤでパンクした際は、その場で車を停めてスペアタイヤに交換する作業が必要ですが、ランフラットタイヤなら、急なパンクが起きても一定の条件下で走行可能なので、安全な場所まで走行でき、事故を防げます。
ここで注意したいのが、ランフラットタイヤはパンクしてからも時速80kmで距離80kmほど走行できますが、規定距離を超えて走行すると、タイヤのゴムが破裂する、バーストを起こして車自体が動かせなくなる危険性もあることです。そのため「パンクしても走行できる」と過信せずに、正しく使用方法を守りましょう。
スペアタイヤが不要
スペアタイヤとは、ノーマルタイヤがパンクした際に交換する応急用のタイヤです。ランフラットタイヤなら、パンクしても走行可能なので、スペアタイヤに交換する手間が省けます。
また、ランフラットタイヤを履いている車は、スペアタイヤが不要になるので車内空間が広くなり、空いた空間に荷物を載せられます。
環境に優しい
なぜ、ランフラットタイヤが環境に優しいのか、疑問を感じた方がいるのではないでしょうか?
ランフラットタイヤを履くことで、スペアタイヤが不要になり、その分CO2の排出が減らせるメリットがあるので、その循環を解説します。
①ランフラットタイヤを装着
②スペアタイヤが不要
③車体が軽くなる
④車体が軽量化することで燃費が向上し
⑤CO2削減につながる
また、車に積まれているスペアタイヤのほとんどが、未使用で廃棄されており、ランフラットタイヤを使用することで、無駄な廃棄タイヤを減らせるので環境に優しいといわれている理由です。
デメリット
ランフラットタイヤのデメリットとして3つ挙げられます。
- 価格が高い
- 乗り心地が悪い
- 取り扱い店舗が少ない
価格が高い
ランフラットタイヤは、ノーマルタイヤとは異なる特殊な構造なので、価格が高く設定されているものがほとんどです。
普通のタイヤなら1本3000円〜6000円で購入できますが、ランフラットタイヤだと1本1万4000円〜4万円ほどかかります。
また、ランフラットタイヤを交換する際は、特殊な工具や高い技術が必要になるので、作業工賃が割高になる傾向があるので、交換の際は事前に店舗に確認しておくと安心です。
乗り心地が悪い
ランフラットタイヤに使用されているゴムは、通常のタイヤのゴムに比べて硬く、弾力がないので、ノーマルタイヤに比べて地面からの衝撃を吸収しにくく、悪路だと座席まで振動が響き乗り心地が悪くなります。
近年では、開発が進み乗り心地が改善されていると言われています。
取り扱っていない業者もある
ランフラットタイヤを装着するには、特殊な技術や専用の工具が必要なので、対応できない業者もあります。ランフラットタイヤだと手軽に交換しづらいので、事前に対応している業者を調べておく必要があります。
ランフラットタイヤがパンクした時の修理は?

ランフラットタイヤのパンク修理は基本的に修理ができません。
ゴムの劣化や、内部が損傷していたり、パンク修理して内部に空気を入れると、タイヤが破裂する恐れがあるので新しいタイヤに交換しましょう。
しかし、ランフラット走行をしていない場合やタイヤのトレッド面に釘やねじが刺さった場合は、ランフラットタイヤやノーマルタイヤに関係なく、パンク修理が可能です。
※ランフラット走行とは、空気圧が70kpa以下での走行を指します。
ランフラットタイヤを履いている車には、タイヤ空気圧警報装置を装着することが義務づけられています。
これは、タイヤの空気圧の異常を察知した時に警告灯やアラームで知らせてくれる機器です。
ランフラットタイヤは、パンクしてもしばらく走行できるので、空気圧が無くなっていることに気付かない場合があり、そのまま走行しつづけると、パンクに強いランフラットタイヤでも、事故につながる危険があります。
そのため、タイヤ空気警報装置の装着は、タイヤのトラブルを発見するためには、とても重要なアイテムなので、装備しておきましょう。
ランフラットタイヤからノーマルタイヤに交換できるの?

ランフラットタイヤからノーマルタイヤへの変更は可能です。
ランフラットタイヤを使用する上で、注意したい点があるので紹介します。
専用のホイールが必要
ランフラットタイヤは、パンクしても走行できるように、サイドウォールが補強されているタイヤで、タイヤのアクシデントが起きてもホイールからタイヤが外れない特殊な構造になっています。
ランフラット専用ではないホイールも装着可能ですが、タイヤ交換する際の脱着などから、メーカーはランフラットタイヤ専用のホイールを装着することをおすすめしています。
ランフラットタイヤからノーマルタイヤに交換した場合のメリット

ランフラットタイヤの価格の高さや、乗り心地が気になる方はノーマルタイヤに交換したいと考えている方もいるのではないでしょうか?
ここでは、ランフラットタイヤからノーマルタイヤに変更した場合のメリットを紹介します。
ランフラットタイヤからノーマルタイヤに交換した場合のメリット
ランフラットタイヤからノーマルタイヤに変更すると下記のようなメリットがあります。
- 乗り心地が良くなる
- コスト低減
- タイヤの選択肢が広がる
乗り心地が良くなる
ランフラットタイヤに比べて、ノーマルタイヤのゴムは弾力があるので衝撃を吸収しやすく、乗り心地が良くなります。
コスト低減
ランフラットタイヤは、構造が特殊なのでタイヤの値段や作業工賃が高くなりますが、ノーマルタイヤに変更することで、費用が抑えられます。
タイヤの選択肢が増える
ランフラットタイヤは、なじみがなくタイヤの種類も少ないので選ぶのには限りがありますが、ノーマルタイヤなら店舗やネットで多くの種類を扱っているので、選択肢の幅が広がります。
BMW承認のランフラットタイヤとは

海外ではランフラットタイヤが主流になってきましたが、日本ではまだ、なじみがないのではないでしょうか?
しかし、日本でもランフラットタイヤを標準装着しているメーカーはいくつかありますが、ここでは、BMWの承認ランフラットタイヤについて紹介します。
BMW承認タイヤとは、BMWが求めるハンドリング性能を実現するために、新車装着用として、BMW基準の性能を追求して生まれたタイヤです。
BMW承認タイヤは、BMWのモデルに合わせて開発されたタイヤで、それぞれのドライブシステムと合うように作られています。
そのため、内部構造や接地面のゴムの配合などすべて専門に設計されているので、信頼性や安全性があります。
また、スターマーク・タイヤと呼ばれ、50項目ある厳しい開発基準をクリアしたタイヤに与えられるBMWが認めた証とされ、このスターマークは、タイヤの側面に刻印されています。
ランフラット・テクノロジーとは、タイヤのサイドウォールが強化されたランフラット・テクノロジータイヤは、パンク時にもタイヤがつぶれて、リムから外れても走行できます。
そのため、走行中のバーストに対し、スピン・モードに入りにくく、車体のブレを安定させられます。
ランフラットタイヤ装着をおすすめする人
近年では、BMWのほかにレクサスやアルファロメオ、日産、トヨタ等の各メーカーからランフラットタイヤが標準装備された車種が発売されています。
そこで、ランフラットタイヤの装着は以下のような方におすすめです。
- 高速道路をよく利用する
- パンクした時が不安
- 車内のスペースを確保したい
ここまで、ランフラットタイヤは、「タイヤの空気圧がなくなっても走行可能なタイヤ」で、環境にも優しいタイヤということがわかりましたね。
環境問題は世界的に注目されており、CO2削減のために各自動車メーカーも力を入れています。
一方で、市販のタイヤと比べると、タイヤの本体価格や作業工賃が高く、対応可能な業者が限られます。
このようにランフラットタイヤとノーマルタイヤのそれぞれのメリット、デメリットを比べて、自分の使用目的や用途に合わせて選ぶとよいでしょう。
これを機会に、ランフラットタイヤに履き替えることも考えてみてはいかがでしょうか。