オールシーズンタイヤで雪道はやめておいた方がいい?スタッドレスタイヤとの違いやリスクを解説!

近年注目を集めているオールシーズンタイヤですが、雪道でも安全に走行できるのでしょうか?そこで本記事では、オールシーズンタイヤの雪道走行やスタッドレスタイヤとの違い、おすすめの人について解説します。
オールシーズンタイヤとは?

オールシーズンタイヤとは、夏用タイヤ(ノーマルタイヤ)と冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ)の基本性能を併せ持ち、年間を通じて履き替えなしに使用できるタイヤです。ただし、メリット・デメリットがありますので、詳しく解説します。
基本性能
オールシーズンタイヤは、夏用タイヤ(ノーマルタイヤ)と冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ)の基本性能をバランスよく併せ持っています。
具体的な性能は、以下の通りです。
- ドライ性能とウェット性能:乾燥路面や雨天時でも走行できる
- 浅い雪道でのグリップ性能:気温が低下してもゴムが硬くなりにくい
したがって春から秋はもちろん、冬の積雪時でもオールシーズンタイヤの使用が可能です。ただし、深い雪道やチェーン規制時には使用できませんので、後ほど解説します。
メリット
コスト削減(タイヤの交換と保管)や急な積雪への対応などが、オールシーズンタイヤを使用するメリットです。
夏用タイヤ(ノーマルタイヤ)と冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ)を併用する場合は、冬の始まりと終わりの時期にタイヤ交換が必要で、使用しないタイヤを保管しておかなくてはなりません。
また、急な雪が降っても、オールシーズンタイヤであれば対応できます。スノーフレークマークの付いた製品であれば、タイヤ規制時も走行が可能です(※1)。

※1画像引用元:国土交通省「雪道は冬用タイヤで走行しましょう」(https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/content/000306832.pdf)
デメリット(リスク)
使い勝手が良い一方で、深い雪道や凍結路に対応できない点は、オールシーズンタイヤのデメリットです。
スタッドレスタイヤよりもグリップ力が劣るため、スリップやスタックしてしまうリスクがあります。
- 急なハンドル・ブレーキ操作でスリップし、対向車に衝突する
- 深い雪道にタイヤがスタックし、立往生してしまう
基本的には一年中使用できるオールシーズンタイヤですが、寒冷地や豪雪地では安全な走行が難しくなります。
オールシーズンタイヤと夏用タイヤ・冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ)の違い

オールシーズンタイヤは、夏用タイヤ(ノーマルタイヤ)と冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ)の中間的な性能を併せ持ちます。使用に適した季節(タイヤ規制時の使用)や雪道の走行性能、コストパフォーマンス(耐久性と価格のバランス)の違いを比較しましょう。
タイヤの種類 | 使用に適した季節 (冬用タイヤ規制時の使用) | 雪道の走行性能 | コストパフォーマンス |
夏用タイヤ (ノーマルタイヤ) | 春から秋 (冬用タイヤ規制時に使用できない) | 対応できない | 耐久性は高いが、雪道では使えない (追加コストがかかる) |
オールシーズンタイヤ | 一年中 (スノーフレークマーク付の製品なら冬用タイヤ規制時に使用できる) | 浅い雪道なら走行できる | タイヤ交換・保管のコストを削減できる |
冬用タイヤ (スタッドレスタイヤ) | 冬 (冬用タイヤ規制時に使用できる) | 深い雪道や凍結路でも走行できる | タイヤ交換・保管のコストがかかる |
使用に適した季節(冬用タイヤ規制時の使用)
タイヤの種類によって、使用に適した季節は異なります。
- 夏用タイヤ(ノーマルタイヤ):高温の乾燥路面や雨天時に適している
- オールシーズンタイヤ:気温変化にある程度対応し、浅い雪道でも走行できる
- 冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ):気温3℃以下の雪道や凍結路に向く
なお、冬用タイヤ規制の発令された道路では、スタッドレス表記・スノーフレークマークの付いたタイヤでなければ走行できません。
雪道の走行性能
雪道の走行性能も、タイヤの種類によって違います。
- 夏用タイヤ(ノーマルタイヤ):雪道や凍結路の走行は危険である
- オールシーズンタイヤ:深い雪道や凍結路には対応できない
- 冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ):深い雪道や凍結路でも走行できる
ただし、チェーン規制時にはスタッドレスタイヤであってもチェーンの装着が義務付けられます。
コストパフォーマンス
タイヤの種類を検討する際には、コストパフォーマンスも比較してください。
- 夏用タイヤ(ノーマルタイヤ):雪道がない地域で経済的
- オールシーズンタイヤ:通年使えて維持費を抑えやすい
- 冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ):雪道に強いが、使用期間が限られ費用負担はやや大きい
タイヤを使用する環境や頻度などによって、コストパフォーマンスは変わります。
オールシーズンタイヤで雪道を走行できるか?

浅い雪道ならオールシーズンタイヤで走行できますが、グリップ性能には限界があります。スノーフレークマークの付いていない製品では冬用タイヤ規制時に走行できず、チェーン規制時にはオールシーズンタイヤだけで走行できません。
深い雪道・凍結路ではグリップ性能に限界がある
オールシーズンタイヤは浅い雪道なら走行できますが、グリップ性能に限界があるため深い雪道や凍結路には対応できません。
タイヤの種類 | 構造 | グリップ性能 |
オールシーズンタイヤ | 夏用タイヤと冬用タイヤの中間 (ゴムの硬さやトレッドパターン、サイプなど) | 浅い雪道に対応できる |
スタッドレスタイヤ | 柔らかいゴムと深い溝、細かい切れ込み | 深い雪道や凍結路に対応できる |
オールシーズンタイヤはスタッドレスタイヤよりもグリップ性能が劣り、制動距離(ブレーキをかけてから止まるまでの距離)が長くなるため、深い雪道や凍結路の走行は危険です。
冬用タイヤ規制時には走行できない(スノーフレークマークの製品を除く)
スノーフレークマークの付いていないオールシーズンタイヤでは、冬用タイヤ規制時に走行できません。
冬用タイヤ規制が発令された道路では、冬用タイヤ(スタッドレス表記やスノーフレークマークの付いた製品のみ)やタイヤチェーンの使用が義務付けられます(※2)。交通事故や立往生による渋滞などの防止が目的です。
オールシーズンタイヤを購入する際は、スノーフレークマークの有無を確認しましょう。
※2参照元:NEXCO中日本「【交通規制にご注意】知っていないと困る、冬道の交通規制」(https://www.c-nexco.co.jp/special/snow/point.html)
チェーン規制時には走行できない
冬用タイヤ規制よりも厳しいチェーン規制が発令された道路では、オールシーズンタイヤだけでは走行できません。
チェーン規制時は、冬用タイヤ(スタッドレス表記やスノーフレークマークの付いたタイヤ)であってもチェーンの装着が義務付けられます。大雪が予想される際に、指定された国道や高速道路に発令されます(※3)。
したがって、冬場にチェーン規制区間をオールシーズンタイヤで走行する前には、チェーンの準備やスタッドレスタイヤへの交換を検討しましょう。
※3参照元:国土交通省「チェーン規制について」(https://www.mlit.go.jp/road/bosai/fuyumichi/tirechains.html)
オールシーズンタイヤがおすすめの人

基本性能や他の種類との違いを踏まえて、オールシーズンタイヤがおすすめの人をご紹介します。温暖な気候の都市部や雪が少ない地域に住んでいる人やタイヤの保管場所がない人、タイヤ交換やチェーン装着の手間を省きたい人は、ご検討ください。
温暖な気候の都市部や雪が少ない地域に住んでいる
オールシーズンタイヤは、温暖な気候の都市部や雪が少ない地域に住んでいる人におすすめです。
具体的には、関東より南方で年間積雪量の少ない地域(横浜市や名古屋市、大阪市、福岡市など)であれば、オールシーズンタイヤで対応できます。雪道でタイヤチェーンを併用すれば、スタッドレスタイヤの交換・保管よりもコスト削減が可能です。
雪道を走行することがほとんどない場合には、オールシーズンタイヤが適しています。
タイヤの保管場所がない
タイヤの保管場所(自宅の駐車場や倉庫など)がない方にとっても、オールシーズンタイヤはおすすめです。
夏用タイヤ(ノーマルタイヤ)から冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ)に履き替える場合は、使用しないタイヤを保管する場所が必要です。保管状態が悪いと、タイヤの早期劣化を招いてしまいます。
オールシーズンタイヤを選択すれば、使用しないタイヤの保管場所が必要ありません。
タイヤ交換やチェーン装着の手間を省きたい
オールシーズンタイヤを選択すれば、タイヤ交換やチェーン装着の手間を省くことができるためおすすめです。
年2回のタイヤ交換や急な積雪によるチェーン装着には、費用や手間がかかります。特に女性や高齢の方にとっては、大きな負担です。オールシーズンタイヤなら一年中使用でき、浅い雪道に対応できます。
もちろん深い雪道や凍結路を走行する際には、スタッドレスタイヤへの交換やチェーンの装着が必要になります。
オールシーズンタイヤによくある質問

今までオールシーズンタイヤを使用したことがない方は、寿命や車種、車検などに関する疑問を抱くのではないでしょうか?オールシーズンタイヤによくある質問を集めて、回答をご紹介します。
寿命はどれくらいですか?
一般的に5年前後です。ただし、オールシーズンタイヤの寿命は、使用する環境や頻度などによって変動します。
オールシーズンタイヤの交換時期を判断するためには、プラットホーム(性能の限界を示す)とスリップサイン(使用の限界を示す)を確認してください。
- プラットホーム:溝が50%減ると露出する
- スリップサイン:溝が1.6mm以下になると露出する
走行距離にすると、3万㎞を超えるとオールシーズンタイヤの性能は落ちていきます。夏の高温と冬の低温でゴムの劣化が進みやすいです。使用頻度が高いほど、劣化が早く進みます。
オールシーズンタイヤの寿命について詳しく解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

どの車種でも装着できますか?
はい、軽自動車や乗用車、SUVなどの幅広い車種に対応しています。ただし車両のサイズによっては、対応するタイヤが限られる場合もあります。
- 車検証でタイヤサイズを確認する
- 製品によって、性能や値段が異なる
- チェーンも利用する場合は、装着可能なタイプを選ぶ
所有する車に適したサイズ・性能のオールシーズンタイヤを選ぶことで、安全性やコストパフォーマンスを確保できます。
車検に通りますか?
はい、オールシーズンタイヤを装着しても車検に通ります。
車検の基準では、タイヤの種類(オールシーズンタイヤ・夏用タイヤ・冬用タイヤ)ではなく、サイズや空気圧、溝の深さ、劣化状態などです(※4)。
- サイズ :車体からはみ出していないか
- 空気圧 :適正範囲内か
- 溝の深さ:1.6㎜以上か
- 劣化状態:ひび割れや摩耗がないか
車検の基準を満たしていれば、オールシーズンタイヤでも車検に合格できます。
※4参照元:国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/B003.pdf)
オールシーズンタイヤでの雪道走行は慎重に判断しよう
一年中使用できるオールシーズンタイヤは便利ですが、路面の状態やタイヤ・チェーン規制の発令によっては雪道を走行できません。安全運転を第一に考えて、雪道での走行を慎重に判断してください。
タイヤ1番.comでは、車種やタイヤメーカーごとにタイヤをお探しいただけます。オールシーズンタイヤも取り揃えていますので、ぜひご覧ください。
