タイヤの空気圧の適正値(目安)とは?数値の確認方法や管理の仕方も解説

タイヤの空気圧は、自動車の安全性と走行性能を左右する重要な要素です。適切な空気圧を維持することで、燃費性能や安定性の向上や寿命の延長といったメリットを得られます。しかし、タイヤの空気圧の適正値や点検方法などについて分からない方もいるでしょう。
そこで本記事では、タイヤの空気圧の重要性から適正値(目安)、点検・充填の方法まで幅広く解説します。タイヤの空気圧に関するよくある質問もまとめてありますので、ぜひ参考にしてください。
タイヤ空気圧とは

タイヤの空気圧とは、タイヤの内部に充填されている空気の圧力のことです。走行時の安全性や燃費性能などに大きく影響するため、重要なメンテナンス項目になります。目安となる適正値を把握して、定期的に確認することが重要です。
タイヤの空気圧の重要性
自動車の安全運転と走行性能、タイヤの寿命を維持するために、タイヤの空気圧が重要です。適切に空気圧が管理されたタイヤは、車両の重量を均等に支え、走行に適した路面との接地面積を確保できるため、安定した走行を可能にします。
また、タイヤの空気圧を適正値に保つことで、燃費性能が向上します。タイヤの転がり抵抗が最適化され、燃料消費量を削減できるからです。特に長距離ドライブや高速道路を走行する際にタイヤの空気圧が不適切だと、余分な燃料を消費してしまいます。
そして、適正値に保たれたタイヤは、偏摩耗を防止することでタイヤの寿命を延ばします。空気圧が低すぎると接地面の両端が、空気圧が高すぎると接地面の中央が偏摩耗してしまうのです。
タイヤの空気圧の適正値(目安)
タイヤの空気圧の適正値は、車種によって大きく異なります。車種ごとに、「車両指定空気圧」が定められています。一般的な乗用車では、220〜240kPa(キロパスカル)程度が目安です。
また、積載量や走行距離などによっても、タイヤの空気圧の適正値は変動します。積載量が多い場合や長距離走行を予定している際は、タイヤに対する負荷が増大するため、通常よりも空気圧を若干高めに設定する必要があります。
なお、タイヤの空気圧は、外気温によって変化します。空気には温度が下がると収縮し、上がると膨張する性質があるからです。したがって夏場はタイヤの空気圧が上がりやすく、冬場は下がりやすくなります。
タイヤの空気圧の適正値(車両指定空気圧)を確認する方法
タイヤの空気圧の適正値(車両指定空気圧)は、車両の取扱説明書や運転席(ドアフレーム)・給油口などに貼付されているステッカーで確認できます。タイヤのサイズが同じでも、車種や位置(前輪・後輪)によって車両指定空気圧が異なる場合があります。
タイヤの空気圧の点検は、少なくとも月1回程度のペースで実施しましょう。なぜなら、タイヤの空気圧は1ヶ月に5%程度自然減少しているからです(※1)。積載量や走行距離が大きいほど、空気圧が抜ける割合が高くなります。
なお、走行直後を避けて、朝一番の走行前や長時間駐車した後など、タイヤが冷えている状態で空気圧を計測しなければなりません。走行直後は熱によってタイヤ内の空気が膨張しているため、実際よりも高い値が出てしまうからです。
※1参照元:日本自動車タイヤ協会「1か月にタイヤの空気圧は」(https://www.jatma.or.jp/tyre_psd/othernews07.pdf)
タイヤの空気圧を適正値に調整しないリスク

タイヤの空気圧を適正値に調整しないと、走行の安全性や燃費性、タイヤの寿命などに悪影響を及ぼすリスクが高くなります。ここでは、タイヤの空気圧が不足する場合と過多になる場合のリスクについて詳しく解説します。
タイヤの空気圧が不足する場合のリスク
タイヤの空気圧が不足した状態で走行する場合は、交通事故や燃費性能の低下、タイヤの寿命短縮などのリスクが高くなります。タイヤの接地面積が広がり、走行中のたわみが大きくなるからです。
空気圧が不足するリスク | 原因 |
交通事故 | ハンドル操作が重くなり、制動距離が延びて、走行の安定性が低くなるため タイヤ内部の発熱や外部からの刺激などにより、タイヤのバースト・パンクが起きる危険性があるため |
燃費性能の低下 | 接地面積が広がり、転がり抵抗が大きくなるため |
タイヤの寿命短縮 | 接地面の両端が偏摩耗するため 走行中のたわみが大きく、発熱しやすいため |
以上のようにタイヤの空気圧が不足すると、安全性やコストに悪影響をもたらします。トラブルを防ぐためには、常に適正値に保つことが重要です。
タイヤの空気圧が過多になる場合のリスク
タイヤの空気圧が過多になっている状態で走行した場合は、交通事故や乗り心地の悪化、タイヤの寿命短縮などのリスクが高くなります。
空気圧が過多になるリスク | 原因 |
交通事故 | 接地面積が狭く、摩擦抵抗が少なくなって、ブレーキ性能が低下するため 雨天時に、スリップしやすくなるため |
乗り心地の悪化 | ゴムが硬くなり、衝撃を吸収しきれなくなるため 車体が跳ねるような硬い乗り心地になるため |
タイヤの寿命短縮 | 接地面の中央が偏摩耗するため |
以上の通り、タイヤの空気が過多になると安全性や快適性、コストに悪影響が出てしまいます。定期的なタイヤの点検と適正値の維持が、安全で乗り心地の良い運転には欠かせません。
タイヤ空気圧の点検方法

タイヤ空気圧の適切な管理は、車両の安全性と性能維持に欠かせません。定期的な点検で、燃費向上やタイヤ寿命延長、走行安定性確保が可能です。自己点検と専門家による点検を組み合わせると、より確実なタイヤ管理ができるでしょう。
ここでは、一般的な点検方法と専門家による点検の利点について解説していきます。
エアゲージを使う
エアゲージを使用したタイヤ空気圧の点検は、簡単かつ効果的な方法です。
まず、タイヤのバルブキャップを外し、ゲージをバルブに押し当てましょう。このとき、しっかりと密着させることが重要です。ゲージの目盛りを読み取り、適正値と比較してください。
適正値は通常、運転席ドアの内側やガソリンタンクのフタの裏側に記載されているものです。測定値が低い場合は、空気を補充しましょう。補充後は再度測定し、適正値に達していることを確認するのがよいでしょう。デジタルタイプのゲージを使用すれば、より正確な測定が可能となります。
また、タイヤの外観も同時にチェックし、異常な摩耗や損傷がないか確認することが大切ですね。
専門家に見てもらう
専門家による点検は、より詳細で正確なタイヤの状態評価が可能です。
カーディーラーやタイヤショップでは、高精度の機器を使用して空気圧を測定します。また、タイヤの摩耗状態、バランス、アライメントなども同時にチェックできるため、総合的なタイヤ管理が実現できるでしょう。専門家は経験に基づいて、タイヤの異常や将来的な問題を早期に発見できます。
さらに、車種や走行状況に応じた適切な空気圧の設定や、タイヤのローテーションについてもアドバイスを受けられますよ。定期的な車検やメンテナンス時に併せて点検を依頼するのも効率的といえます。
専門家の目を通すことで、自己点検では気づきにくい問題を発見し、安全性を高められるのではないでしょうか。
タイヤ空気圧の充填方法

タイヤ空気圧の適切な充填は、車両の安全性と性能を維持する上で重要です。充填方法には主にエアタンク式と据え置き式があり、それぞれに特徴があります。適切な方法で充填することで、タイヤの寿命延長や燃費向上、走行安定性の確保が可能となるでしょう。
ここでは、一般的な充填方法とその利点について解説していきます。
エアタンク式
エアタンク式の充填器は、持ち運びが可能で使用場所を選びません。コンプレッサーで圧縮した空気をタンクに蓄え、必要な時に使用する仕組みです。
まず、タイヤのバルブキャップを外し、充填器のノズルをしっかりとバルブに装着しましょう。空気を注入する際は、少しずつ行い、こまめに空気圧を確認するのがコツです。
充填中は空気が漏れないよう、ノズルをしっかり押し当てることが大切ですね。適正値に達したら、ノズルを外してバルブキャップを元に戻します。
エアタンク式は家庭でも手軽に使用でき、急な空気圧低下にも対応できる利点があります。ただし、大容量のタンクでないと、複数のタイヤに充填する際に空気が足りなくなる可能性もあるので注意が必要でしょう。
据え置き式
据え置き式の充填器は、ガソリンスタンドや整備工場などに設置されている大型の機器です。高い圧力で安定した空気供給が可能で、複数のタイヤにも連続して充填できる利点があります。
使用方法はエアタンク式と基本的に同じですが、より正確な空気圧調整が可能となるでしょう。多くの場合、デジタル表示で現在の空気圧が確認でき、目標値を設定すれば自動で適正値まで充填してくれる機能を持つものもあります。
また、プロ仕様の機器では、窒素ガスを充填できるものもあり、より安定した空気圧維持が可能となるのです。
ただし、使用には場所の制約があるため、日常的なメンテナンスには不向きかもしれません。定期点検や長距離ドライブ前のチェックなど、計画的な使用が望ましいでしょう。
タイヤ空気圧の適正値を保つポイント

タイヤ空気圧の適正値維持は、車両の安全性と燃費向上に直結します。適切な空気圧は、タイヤの寿命を延ばし、走行安定性を高めるでしょう。一方、不適切な空気圧は、燃費悪化や偏摩耗、最悪の場合バーストの危険性も。
ここでは、適正値を保つための重要なポイントを解説します。
空気圧の適正値を決める
タイヤ空気圧の適正値は、車種や積載量によって異なります。
まず、車両の取扱説明書やドアフレームに記載された推奨値を確認しましょう。通常、前後輪で異なる値が設定されているケースも多いです。また、乗車人数や荷物の量によっても適正値は変わります。長距離走行や高速道路利用時は、やや高めの設定が推奨されるでしょう。
季節による温度変化も考慮が必要です。寒冷期は空気が収縮するため、若干高めに設定するのがよいでしょう。逆に夏場は膨張を考慮し、やや低めに抑えるのも一案です。適正値を把握し、状況に応じて微調整することで、最適な走行状態を維持できるのです。
定期点検や充填を行う
タイヤ空気圧の定期点検は、月に1回程度が理想的です。長距離ドライブ前にもチェックするのがよいでしょう。
点検は必ずタイヤが冷えた状態で行いましょう。走行直後は熱で空気が膨張しているため、正確な測定ができません。エアゲージ(エアゲージ)を使用し、各タイヤの空気圧を測定します。
適正値より低い場合は、すぐに充填するのが大切です。充填の際は、少しずつ行い、こまめに圧力を確認しながら進めましょう。過充填にも注意が必要です。定期的な点検と適切な充填を習慣化することで、タイヤの性能を最大限に引き出せるのです。
また、日々の目視チェックも重要です。タイヤの変形や異常な摩耗がないか、こまめに確認する習慣をつけましょう。
タイヤパーツの状態確認や交換をする
適正な空気圧を維持するには、タイヤ本体だけでなく、関連パーツの状態確認も重要です。特にバルブは定期的なチェックが必要でしょう。
バルブキャップの紛失や破損、バルブコアの劣化は空気漏れの原因となります。これらのパーツは比較的安価で交換可能なので、異常を感じたらすぐに対応するのがよいでしょう。
また、ホイールの状態も空気圧維持に影響します。リム部分の変形やクラックがあると、空気漏れの原因となる可能性があります。定期的なホイールのクリーニングと点検を行い、異常があれば専門家に相談しましょう。
タイヤローテーションも忘れずに。偏摩耗を防ぎ、タイヤの寿命を延ばすだけでなく、適正な空気圧維持にも有効です。
タイヤの空気圧に関するよくある質問

タイヤの空気圧を調整する際は、点検や充填に関する疑問を抱くものです。そこでタイヤの空気圧に関するよくある質問を集め、回答をご紹介します。タイヤの空気圧を適正値に保つために、ぜひご覧ください。
空気圧が減りやすい場合の対処法はありますか?

はい、バルブやトレッド・サイドウォール、リムを点検してください。タイヤの空気圧が減りやすい場合は、適切な対処が必要です。定期的なタイヤの点検と空気圧の調整を習慣化することで、トラブルを早期発見しやすくなります。
点検箇所 | 点検項目 | 対処法 |
バルブ | 劣化やキャップの紛失がないか | 比較的安価なため、早めに交換する |
トレッドサイドウォール | 小さな穴や亀裂がないか | パンクの修理や交換を検討する |
ホイール | リムに変形やクラックがないか | 早めに交換する |
自己点検で原因が特定できない場合は、専門店に精密検査を依頼しましょう。微細な亀裂やバルブの不具合など、専門的な機器でないと発見しにくい問題もあります。急激な空気圧の低下は危険ですので、少しでも気になる点があれば、すぐに対応することが大切です。
タイヤの前輪と後輪で空気圧を変える必要はありますか?
いいえ、基本的には同じ車両に装着する場合は、前輪と後輪の空気圧は同じです。自動車メーカーの指定する空気圧に調整してください。
ただし、FF車(フロントエンジン・フロントドライブの自動車)では、前輪の空気圧が高めに指定されている場合があります。フロントエンジンで駆動するために、後輪よりも前輪のほうに負荷がかかるからです。
また、トラックやSUVなどの積載量が大きい車種では、後輪の空気圧が高く指定されている場合があります。車体の後部に荷物を積載することで、前輪よりも後輪のほうに負担がかかるからです。
スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの空気圧は違いますか?
いいえ、スタッドレスタイヤでもノーマルタイヤでも、自動車メーカーの車両指定空気圧に揃えます。ただし、スタッドレスタイヤとノーマルタイヤでは走行環境が異なるため、ゴムの特性に違いがあります。
- スタッドレスタイヤ:冬場の低温環境でも硬化しにくい柔らかめのゴム
- ノーマルタイヤ :夏場の高温環境に耐えられる硬めのゴム
スタッドレスタイヤの空気圧については、以下の記事も併せてご覧ください。

なぜタイヤに窒素ガスを充填したほうが良いのですか?
タイヤに窒素ガスを充填することで、空気圧が安定するからです。窒素は酸素よりも分子が大きく、タイヤから抜けにくくなります。
窒素ガスをタイヤに充填して空気圧を適正値に維持しやすくなれば、長期的に燃費性能や乗り心地が良くなります。また、偏摩耗を防ぐことで寿命を維持しやすくなるのです。
ただし、窒素ガスの充填にはコストがかかります。一般的に通常の空気圧の点検と調整なら無料であっても、窒素ガスの補充は有料サービスとなるからです。
タイヤの空気圧を適正値に保とう
自動車の安全性と走行性能を維持するためには、タイヤの空気圧を適正値に保つことが不可欠です。燃費性能の向上やタイヤの寿命延長などのメリットもあります。タイヤの適正値は車種や積載量などに応じて異なり、自然と抜けていくため月1回程度の定期点検が必要です。
エアゲージで正確にタイヤの空気圧を測り、必要に応じて充填します。バルブやホイールの点検や定期的なタイヤのローテーションも重要です。トラブルの際は専門家に点検を依頼して、季節や走行条件に応じた調整を心がけましょう。
タイヤ1番.comでは、車種やタイヤメーカーに適したタイヤを取り揃えております。タイヤの空気圧に関するご相談も承りますので、タイヤ選びにお悩みの方はぜひご覧ください。