タイヤの外径はどうやって計算する?交換のために知っておきたいサイズ関連の基礎知識

「普段乗っている車のタイヤサイズを変えて、ドレスアップしたい」と考えていても、「タイヤサイズの表記が分からない」「タイヤサイズを変更する方法を知りたい」と思っていませんか?
そこで本記事では、外径の計算方法やタイヤサイズを変更する方法などを解説します。タイヤサイズに関するよくある質問や自転車のタイヤサイズについてもまとめてありますので、ぜひ参考にしてください。
タイヤの外径とは?

タイヤの外径とは、タイヤの中心を通して端から端までを結んだ全体の長さ(直径)のことです。タイヤの外径を変更すると、車の走行性能やスピードメーターの精度に影響します。サイドウォールに記載されているタイヤサイズから、外径を計算できます。
タイヤの外径とサイズとの違い
タイヤの外径とサイズの違いは、示す内容です。
- タイヤの外径:タイヤ全体の直径を示す
- タイヤサイズ:設計上の規格を示す(断面の幅や扁平率、構造、リム径、ロードインデックス、速度記号、速度カテゴリー、プライレーティングなど)
計算が必要なタイヤの外径に対して、タイヤサイズはサイドウォールに記載されています。タイヤの外径を計算するためには、タイヤの幅と扁平率、リム径などの情報が必要です。詳しい計算方法については、次にご紹介します。
タイヤの外径の計算

車の走行性能や安全性を保つために、タイヤの外径を正確に計算することが必要です。タイヤサイズを用いることで、タイヤの外径を計算できます。ここでは、タイヤの外径を計算する目的と計算方法について詳しく解説します。
外径を計算する目的
タイヤの外径を正確に計算して、車体に適したタイヤを選ぶことで、車の走行性能と安全性を保つことができます。
- タイヤの外径が変わるとハンドリングや燃費、スピードメーターの表示などに影響が出る
- 外径が合わないタイヤを装着すると車体を干渉したり、車検に通らなかったりする
外径の計算は見た目を変えるためだけではなく、安全運転を維持するために重要です。
外径の計算方法
タイヤの外径の計算方法は、次の式で求められます。
- 外径=タイヤの幅(mm)×扁平率(%)÷100×2+リム径(inch)×25.4
※扁平率は「断面の高さ(H)÷断面の幅(W)×100」を計算した割合です。
※リム径はインチ(1inch=25.4mm)で表記されているため、25.4を乗じます。
例として、タイヤサイズが「155/65R14」(幅155mm・扁平率65%・リム径14インチ)の外径を計算してみます。
- 155×65÷100×2+14×25.4=557.1mm
一般的にタイヤサイズはサイドウォールに記載されており、外径の計算方法は電卓を使用すれば難しくありません。
タイヤサイズの表記の見方

タイヤサイズはタイヤの側面に表記されており、側面以外にも、運転席側のドアの内側にあるシールや取り扱い説明書に記載されています。
上記の写真のように235/55R18 100Vなどの数字とアルファベットが刻印されているのがタイヤサイズです。
タイヤのサイズによって刻印されている数字とアルファベットは変わりますが、それぞれ表示されている意味は同じです。
ここでは、軽自動車に標準装着されているタイヤサイズ「155/65R14 75S」の刻印を例にして、タイヤサイズの表記の見方を解説します。
タイヤの幅(mm)
155=タイヤ幅(mm)を表しています。
扁平率(断面の高さ)
65=扁平率(%)を表しています。
扁平率が低いほど、タイヤの側面の厚みが薄くなります。
タイヤの構造
R=タイヤの構造を表しており、「R」はラジアルタイヤを表しています。
近年では、ほとんどのタイヤがラジアルタイヤになっています。
リム径(インチ)
14=リム径(インチ)を表しており、タイヤの内径を示す数字です。
ロードインデックス(荷重指数)
75=ロードインデックスを表しており、タイヤ1本あたりが支えられる荷重を示した表記で、この場合75は387kgまで耐えられます。
このロードインデックスを下回るタイヤは、車体の重量に耐えられずそのまま走行すると、バーストを起こすなど危険な事故につながるので、タイヤサイズを変更する際は、ロードインデックスを確認し、適正なタイヤを選ぶことが大切です。
荷重指数表
| LI | 60 | 61 | 62 | 63 | 64 | 65 | 66 | 67 | 68 | 69 | 70 | 71 | 72 | 73 |
| kg | 250 | 257 | 265 | 272 | 280 | 290 | 300 | 207 | 315 | 325 | 335 | 345 | 355 | 365 |
| LI | 74 | 75 | 76 | 77 | 78 | 79 | 80 | 81 | 82 | 83 | 84 | 85 | 86 | 87 |
| kg | 375 | 387 | 400 | 412 | 425 | 437 | 450 | 462 | 475 | 487 | 500 | 515 | 530 | 545 |
| LI | 88 | 89 | 90 | 91 | 92 | 93 | 94 | 95 | 96 | 97 | 98 | 99 | 100 | 101 |
| kg | 560 | 580 | 600 | 615 | 630 | 650 | 670 | 690 | 710 | 730 | 750 | 775 | 800 | 825 |
| LI | 102 | 103 | 104 | 105 | 106 | 107 | 108 | 109 | 110 | 111 | 112 | 113 |
| kg | 850 | 875 | 900 | 925 | 950 | 975 | 1000 | 1030 | 1060 | 1090 | 1120 | 1150 |
| LI | 114 | 115 | 116 | 117 | 118 | 119 | 120 |
| kg | 1180 | 1215 | 1250 | 1285 | 1320 | 1360 | 1400 |
速度記号
S=速度記号を表しており、走行可能な速度です。この場合、Sは最高速度180km/hとなります。
その他の速度記号をまとめたので、参考にしてください。
| 速度記号 | L | N | Q | R | S | T | H | V | W | Y |
| 最高速度km/h | 120 | 140 | 160 | 170 | 180 | 190 | 210 | 240 | 270 | 300 |
速度カテゴリー
サイドウォールに速度カテゴリーの「ZR」が記載されているタイヤには、速度240km/h以上に耐える性能があります。「ZR」が登場する以前には、「SR」「HR」「VR」も使用されていました。
| 速度カテゴリー | SR | HR | VR | ZR |
| 最高時速(km/h) | 180 | 210 | 240 | 240以上 |
現在では、「W(最高時速270km/h)」や「Y(最高時速300km/h)」の速度記号と併記されています。
プライレーティング(PR)
「4PR」や「6PR」などのプライレーティングは、耐荷重強度指数を示します。プライはタイヤ内部の骨組みを構成する繊維の層です。
| プライレーティングの数値 | 対応する車種 |
| 4PR | 軽自動車・セダン |
| 6PR | ミニバン・SUV |
| 8PR | 小型トラック |
ロードインデックスや速度記号の代わりに表記され、プライレーティングが上がるほど、繊維の層が厚くなります(強度が高くなります)。
タイヤサイズ一覧と適合表

自分の所持している車のタイヤサイズや適合するタイヤサイズを知りたいという方は株式会社ブリヂストンから確認できます。
| 標準装着サイズ | 適合サイズ |
| 70 | 65、60、55、50、45、40、35 |
| 65 | 60、55、50、45、40、35 |
| 60 | 55、50、45、40、35、30 |
| 55 | 50、45、40、35 |
| 45 | 45、35 |
| 40 | 35、30 |
| 35 | 30 |
軽自動車のタイヤサイズ早見表
軽自動車のタイヤサイズは主に13インチから15インチとされており、標準装備されているタイヤサイズは13インチが145/80R13、14インチが155/65R14、15インチが165/55R15ですが、それ以外にも適合するタイヤサイズがあるので、ここでは、12インチから15インチの軽自動車のタイヤサイズの早見表を紹介します。
| 12インチ | 13インチ | 14インチ | 15インチ |
| 145/70R12 | 145/75R13 | 165/70R14 | 195/70R15 |
| 155/70R12 | 155/70R13 | 175/70R14 | 205/70R15 |
| 165/70R12 | 165/70R13 | 185/70R14 | 215/70R15 |
| 175/70R12 | 175/70R13 | 195/70R14 | 255/70R15 |
| 155/65R13 | 145/65R14 | 265/70R15 | |
| 165/65R13 | 155/65R14 | 145/65R15 | |
| 185/80R13 | 165/65R14 | 155/65R15 | |
| 175/65R14 | 165/65R15 | ||
| 185/65R14 | 175/65R15 | ||
| 195/65R14 | 185/65R15 | ||
| 215/65R14 | 195/65R15 | ||
| 165/60R14 | 205/65R15 | ||
| 175/65R14 | 215/65R15 | ||
| 185/65R14 | 155/60R15 | ||
| 195/65R14 | 165/60R15 | ||
| 205/65R14 | 175/65R15 | ||
| 185/65R15 | |||
| 195/65R15 | |||
| 205/60R15 | |||
| 215/60R15 |
タイヤサイズを変更した時の許容範囲

タイヤ幅を変更する際の許容範囲は「プラス3%、マイナス2%」とされており、数値に表すと、タイヤ幅を太くする場合は「純正タイヤ幅のマイナス10mmまで」、タイヤ幅を細くする場合は「純正タイヤ幅プラス20mmまで」がひとつの目安とされています。
まず、タイヤサイズを変更する際は、純正タイヤのサイズを把握する必要があります。一般的なタイヤサイズ変更の注意点としては、タイヤの外径を変えないことです。
タイヤの外径を維持してサイズを変更する方法

タイヤの交換やカスタムを行う際は、走行性能と安全性を保つためにタイヤの外径を維持したままサイズを変更することが重要です。ここでは、タイヤの外径を維持してサイズを変更する方法(インチアップとインチダウン)を解説します。
インチアップのメリット・デメリット
インチアップは、タイヤの外径を維持したままリム径を大きくすることです。タイヤの扁平率が下がるため、タイヤの高さは低く、幅は広くなります。
| インチアップのメリット | インチアップのデメリット |
| ホイールの面積が大きくなり、ドレスアップ効果を得られる(存在感が強くなる) コーナリングやハンドリングなどの運動性能が安定する | ゴムが薄くなるため、乗り心地が硬くなる クッション性が低くなるため、走行音が大きくなる |
インチアップすることでタイヤの幅が広がりますが、法的に車体の基準が定められているため、車体のフェンダーからはみ出ないように注意しましょう(※1)。
※1参照元:国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」(第178条、1~2ページ)(https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/S178.pdf)
インチアップの注意点
インチアップのメリットは、ドレスアップ効果があり、コーナーリングの性能が向上する点です。その反面デメリットは、タイヤの扁平率が低くなるので、路面の影響を受けやすく、乗り心地や燃費が悪くなります。また、インチアップすることで車検に通らなかったり、ほかにも注意したい点がいくつかあるので解説していきます。
車体からはみ出さない
車体からはみ出しているタイヤは、道路運送車両の保安基準第178条で規定されています。規定では、ホイールの中心から上側の前30度・後ろ50度の範囲で、フェンダー内に収めないといけません。
2017年の規制緩和で10mm以内であれば、タイヤのはみ出しが認められましたが、基本的にはフェンダー外にタイヤがはみでることは良くないとされています。
スピードメーターに誤差がある
タイヤサイズを変更したことで、タイヤの外径が変わってしまうと、タイヤの円周や長さが変わり、走行速度表示や走行距離表示が正確に計測できなくなり、スピードメーターに誤差が生じます。スピードメーターの許容範囲は約10km/hとされていますが、できるだけタイヤの外径を変えないように、タイヤサイズを変更することをおすすめします。
インチアップは、人気のあるカスタマイズですが、安心、安全に走行できるために、プロの方に見てもらい、適合するタイヤサイズを装着することがおすすめです。
インチアップの早見表
インチアップを考えている方はフジ・コーポレーション通販サイトからインチアップ早見表を確認できます。参考にしてみてください。
インチダウンのメリット・デメリット
インチダウンは、タイヤの外径を維持したままリム径を小さくすることです。タイヤの扁平率が上がるため、タイヤの高さは高く、幅が狭くなります。
| インチダウンのメリット | インチダウンのデメリット |
| ゴムが厚くなり、乗り心地がよくなる クッション性が高くなるため、走行音が小さくなる | ホイールの面積が狭くなり、落ち着いた印象になる コーナリングやハンドリングなどの運動性能が落ちる |
インチダウンすることでタイヤの幅が狭くなるため、耐荷重性が低くなります。車体に必要なロードインデックスを確保しましょう。
自転車のタイヤサイズの表記の見方

自転車のタイヤサイズも車と同じように、タイヤの側面に表記されており、車のタイヤサイズには規格が統一されていますが、自転車はいくつかの規格があります。
日本の自転車のタイヤサイズには、ほとんどがWO規格とHE規格が使用されているので、ここでは、自転車のタイヤサイズの表記の見方を解説します。
エトルト(IOS規格)
自転車にはエトルトというものが表記されています。
このエトルト(ISO規格)とは、「タイヤ幅(mm)-ミリ径(mm)」と表記され、どの自転車にもエトルトサイズを表記するように義務付けられています。
上記の写真のように、38ー559などの数字が刻印されているので確認してみてください。
エトルトの表記を参考にすれば、タイヤの種類に関わらず、互換性をもったタイヤが使用できるので確認してみると良いでしょう。
WO規格
WO規格は、ワイヤードオンの略で、タイヤの耳の部分にワイヤーが入っており、ビードワイヤーが、リムの上に乗っているタイヤです。
WO規格のインチ×分数で表示されているものはイギリス規格で、一般的な自転車によく表記されているので、見たことがある方はいるのではないでしょうか。
例、26×1-3/8と刻印されているタイヤの場合、26がタイヤの外径をインチで表示し、1-3/8はタイヤの幅を表しています。
WO規格には、インチ×分数で表示されるイギリス規格のほかに、数字×数字×アルファベットで表示されるフランス規格もあるので注意して見てください。
例、700×40Cと刻印されている場合は、700がタイヤ外径、40が幅、Cがリムの大きさを表しています。
HE規格
HE規格は、WO規格と同じく耳部分にワイヤーが入っていますが、リムにひっかけることで保持するタイヤです。
HE規格は、米国規格でインチ×小数点で表示され、マウンテンバイクや子供用自転車に使用されています。
例、26×1.50とタイヤに刻印されている場合、26がタイヤの外径をインチで表し、1.50がタイヤの幅をインチで表しています。
タイヤのサイズに関するよくある質問

タイヤのサイズを変更する際は、外径の計算や車検の合格などに関する疑問を抱くものです。ここでは、タイヤのサイズに関するよくある質問を集め、回答をご紹介します。参考情報として、自転車のタイヤサイズの選び方もまとめました。
車種に合わない外径のタイヤを装着しても大丈夫ですか?
いいえ、車種に合わない外径のタイヤを装着することは危険ですので、止めてください。
- 外径が大きすぎるとブレーキ性能や加速性能が低下する
- 外径が小さすぎると安定性や燃費性が悪くなる
車種に合わない外径に変更することで、スピードメーターの表示や車検の審査にも悪影響をもたらしてしまうのです。
タイヤのサイズを変更しても車検に通りますか?
はい、車両の保安基準を満たしていれば、車検に通ります(※2)。
- タイヤの外径 :純正タイヤのプラスマイナス3%以内
- ロードインデックス:純正タイヤと同等以上
- 速度記号 :純正タイヤと同等以上
- フェンダー :タイヤがはみ出していない状態
したがって、タイヤの外径を維持したままサイズを変更すること(インチアップまたはインチダウン)が必要です。
※2参照元:国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」(第178条、1~2ページ)(https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/S178.pdf)
どうしたら簡単にインチアップができますか?
タイヤメーカーによっては、公式サイトでインチアップの対応表を公開しています(※3)。
- 純正タイヤのサイズを確認する
- 表から対応しているサイズを探す
- 外径や扁平率などの違いを確認する
ただし、あくまで参考情報として捉え、詳しくは車のプロに相談したほうが安心です。
※3参照元:
横浜ゴム「インチアップサイズ対応表」(https://www.y-yokohama.com/product/tire/inchup/)
ブリヂストン「インチアップ適合表」(https://tire.bridgestone.co.jp/pdf/70-35.pdf)
自転車のタイヤサイズはどれくらいがいいですか?

用途や走行環境などによって、自転車に適したタイヤのサイズや幅は異なります。
| タイヤのサイズと幅 | メリット | デメリット |
| 大きい(ペダルが重くなる) | スピードが出る | 漕ぐ力が必要になる |
| 小さい(ペダルが軽くなる) | 軽い力で漕げる | スピードが出にくい |
| 太い | 悪路でも安定して走行できる | スピードが出にくい |
| 細い | スピードが出やすい | 悪路でタイヤをとられる |
自動車と同様に安全性や走行性能を重視して、自転車のタイヤサイズを検討しましょう。
タイヤの交換・カスタムについてプロに相談しよう
タイヤの外径計算やサイズ変更は、車の走行性能と安全運転に大きく影響します。タイヤの交換・カスタムについて迷った際は、タイヤのプロに相談することが重要です。
タイヤ1番.comでは、車種やタイヤメーカーに適したタイヤを取り揃えております。タイヤの交換・カスタマイズのご相談も承りますので、タイヤ選びにお悩みの方はぜひご覧ください。



