スタッドレスタイヤとは?知っておくべき基本から使用上の注意点まで解説!

スタッドレスタイヤは雪道や凍結路に強く、冬の安全運転に欠かせません。本記事では、スタッドレスタイヤの基本情報から選び方、交換時期と寿命、使用上の注意点までを解説します。
スタッドレスタイヤとは?基本情報を紹介

スタッドレスタイヤとは、雪道や凍結路などの過酷な道路環境で、安全に走行できるように設計された冬用のタイヤです。スタッドレスタイヤの購入を検討するために、仕組みや必要な理由、他の種類との違いを把握しておきましょう。
仕組み
スタッドレスタイヤは、「低温でも柔らかさを保つゴム」と「トレッド(接地面)の深い溝とサイプ(細かな切り込み)」で、雪や氷で覆われた道路を掴む仕組みです。
気温が下がるにつれてゴムが硬くなるタイヤでは、グリップ性能が落ちてしまいます。また、浅い溝のタイヤでは、雪や水分を逃がすことができません。
一方で、スタッドレスタイヤは低温でも柔らかさと排雪性を保ち、高いグリップ力を発揮します。そのため、雪道や凍結路でも安全な走行を維持できる仕組みです。
必要な理由
スタッドレスタイヤは、雪道や凍結路の走行で安全性を確保するために必要です。
積雪の少ない地域でも、早朝や夜間に凍結することがあります。スタッドレスであれば、雪道や凍結路はもちろん、ブラックアイスバーン(見た目には乾いていても、実際には凍っている状態の路面)でもグリップが効きます。
なお法令に基づいて冬用タイヤ装着を規制される際にも、基準を満たすスタッドレスタイヤなら走行が可能です(※1)。
※1参照元:
e-GOV法令検索「道路交通法」(第71条の6)(https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105)
他の種類との違い(スノータイヤ・オールシーズンタイヤ・ノーマルタイヤ)
スノータイヤは冬用タイヤの総称で、スパイクタイヤ(接地面にピンを埋め込んだタイプ)とスタッドレスタイヤが含まれます。スパイクタイヤの利用は、法的に規制されています(※2)。
スタッドレスタイヤとノーマルタイヤ(サマータイヤ)・オールシーズンタイヤの違いは、仕組みと用途です。
タイヤの種類 | 仕組み | 用途(走行に適した路面) |
スタッドレスタイヤ (冬用タイヤ) | 低温でも柔らかさを保つゴム 深い溝と細かいサイプ(切り込み) | 冬場 雪道 凍結路 |
オールシーズンタイヤ (一年中) | ノーマルタイヤとスタッドレスタイヤの 中間に位置するゴムと溝 | 軽い雪道・凍結路 晴天の乾いた道路 雨天の道路 |
ノーマルタイヤ (夏用・サマータイヤ) | 高温時に安定するゴム 排水性の高い溝 | 晴天の乾いた道路 雨天の道路 |
以上のように、タイヤの種類ごとに走行に適した路面は異なります。
※2参照元:e-GOV法令検索「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」(https://laws.e-gov.go.jp/law/402AC0000000055)
スタッドレスタイヤの選び方

所有する車に適したスタッドレスタイヤは、車体のタイプやサイズ、使用環境、予算、好きなメーカーによって異なります。そこで、スタッドレスタイヤの選び方を詳しくご紹介します。
車体のタイプにタイヤサイズを合わせる
スタッドレスタイヤを選ぶ際には、まず車体のタイプに合うタイヤサイズを確認することが重要です。
車体のタイプ | タイヤサイズの例 | 代表的な車種 |
軽自動車 | 145/80R13 155/65R14 165/55R15 | N-BOX(ホンダ) タント(ダイハツ) アルト(スズキ) |
コンパクトカー | 175/65R14 185/65R15 | シエンタ(トヨタ) ノート(日産) フリード(ホンダ) |
セダン・ミニバン | 195/65R15 205/60R16 215/50R17 225/45R18 | プリウス(トヨタ) ノア・ヴォクシー(トヨタ) シビック(ホンダ) 3シリーズ(BMW) |
SUV | 215/65R16 225/60R17 225/55R18 235/55R19 265/55R20 | エクストレイル(日産) デリカD:5(ミツビシ) フォレスター(スバル) RAV4(トヨタ) ランドクルーザー300(トヨタ) |
タイヤのメーカーや販売店などの公式サイトで、車種ごとに合うタイヤのサイズを確認できます。
使用環境に合う性能を選ぶ
地域の気候や運転する頻度に応じて、スタッドレスタイヤの性能を検討することも必要です。
使用環境の例 | 必要な性能 |
豪雪地域 (雪道や凍結路) | 氷上性能 雪上性能 |
降雪量の少ない都市部 (ドライ路面や凍結路) | ドライ性能 静粛性能 耐摩耗性 |
毎日運転する人 | 耐久性 燃費性 |
週末だけ運転する人 | 氷上性能とドライ性能のバランス 経済性 |
タイヤのメーカーや販売店では、各製品の性能を比較した情報を発信していますので、参考にしましょう。
各製品の値段を比較する
スタッドレスタイヤの価格帯は広い(1本5千~4万円程度)ため、値段と性能のバランス(コストパフォーマンス)も検討すべきです。
一般的には、同じ製品でもサイズが大きいほど値段が高くなります。また、国内メーカーよりも、海外メーカーの製品のほうが安いです。
タイヤの販売店や通販サイトでは、各製品の価格やレビューを掲載していますので、チェックしてみましょう。
信頼できるメーカーを探す
スタッドレスタイヤは冬場の安全運転を支えるため、信頼できるメーカーの製品を探しましょう。
タイヤメーカーの種類 | 代表的なメーカー |
国内メーカー | ブリヂストン ヨコハマタイヤ ダンロップ トーヨータイヤ |
海外メーカー | ミシュラン グッドイヤー コンチネンタル ピレリ ノキアン |
特に、長年の販売実績があるメーカーや走行テスト結果を公表しているメーカーなら、信頼性が高いです。
スタッドレスタイヤの交換時期と寿命

スタッドレスタイヤの性能は経年劣化と共に下がるため、適切なタイミングで交換することが大切です。寿命(交換時期の目安)と劣化のサイン、保管方法、走行距離と耐用年数の関係を解説します。
交換時期の目安(ノーマルタイヤからスタッドレスタイヤへ)
ノーマルタイヤからスタッドレスタイヤに交換する時期の目安は、地域によって異なりますが、初雪の予想される1か月前です。
最低気温が3度を下回る頃には、交換を手配してください。朝晩の冷え込みが強くなると、路面が凍結し始めるためです。
冬が近づくにつれて業者へのタイヤ交換の依頼が増えるため、混雑が予想されます。冬場に安全運転を続けるためには、早めの対応が不可欠です。
オフシーズンの保管方法
オフシーズン(路面が凍結しない春から秋の時期)には、スタッドレスタイヤを正しく保管して寿命を延ばしましょう。
正しい保管方法は、以下の通りです。
- 直射日光と高温多湿を避けるために、カバーをかけて立てた状態で保管する
- 変形やひび割れを防ぐために、空気圧を少し下げて保管する
スタッドレスタイヤの保管にはコストがかかりますが、正しい保管方法が劣化を防ぐために重要です。
買い替え時期の目安(走行距離と寿命の関係)
1シーズンあたりの走行距離が長い(同じ期間に長く走行する)ほど、スタッドレスタイヤの寿命(耐用年数)は短くなります。
- 1シーズン3,000~5,000㎞を走行するなら、使用開始から3~5年程度が寿命である
- 製造から10年を経過する頃には、新品への買い替えが必要になる
走行距離を一つの目安として、スタッドレスタイヤの買い替え時期を判断することができます。
劣化のサイン
走行距離が長くなったり、保管方法が悪かったりすると、スタッドレスタイヤは劣化していきます。
定期的にスタッドレスタイヤを点検することが重要です。
- ゴムがひび割れや硬化をしている
- ブロックの角が丸くなっている
- プラットホームが露出している(残りの溝が50%程度に達している)
- スリップサインが露出している(残りの溝が1.6㎜に達している)
上記のサインを発見したら、スタッドレスタイヤの買い替えを検討してください。
スタッドレスタイヤの使用上の注意点

スタッドレスタイヤは雪道や凍結路の走行に適していますが、使用方法を間違えると性能を発揮できません。特に、危険運転やチェーンとの併用、劣化や摩耗の定期点検にご注意ください。
危険な運転(急発進・急加速・急なハンドル・ブレーキ操作)
スタッドレスタイヤを履いていても、急発進・急加速・急なハンドル・ブレーキ操作は非常に危険です。
雪道や凍結路ではタイヤが滑りやすいため、急な動きをすると車のコントロールを失ってしまいます。車の急な動きでタイヤが摩耗してしまうと、寿命を縮めてしまうのです。
雪道や凍結路では、ゆっくり発進・加速し、滑らかにハンドルを切り、早めにブレーキを踏みながら安全運転を心がけましょう。
チェーンとの併用
天候や規制などの状況に応じて、スタッドレスタイヤに加えてチェーンを併用することが必要です。
具体的なケースをご紹介します。
- 急な上り坂の雪道を走行するとき
- 大雪の日に走行するとき
- 雪にハマって脱出したいとき
- チェーン規制が発令されているとき(※3)
特に、チェーン規制区間をスタッドレスタイヤだけで走行すると、罰則を受ける法令違反に問われますので、ご注意ください。
※3参照元:国土交通省「チェーン規制について」(https://www.mlit.go.jp/road/bosai/fuyumichi/tirechains.html)
劣化や摩耗の定期点検
スタッドレスタイヤの劣化や摩耗を定期的に点検することで、性能を維持しながら安全運転ができます。
スタッドレスタイヤの定期点検項目は、以下の通りです。
- 溝の深さ(4㎜以下で性能が低下)
- プラットホーム(残りの溝が50%になると性能が低下)
- スリップサイン(残りの溝が1.6㎜になると使用の限界)
- ゴムの硬さ(購入時よりも硬くなるとグリップ力が低下)
- ひび割れや亀裂(経年劣化や不適切な保管方法などが原因)
- 空気圧(使用中に自然と下がるため、月1回はチェック)
- 製造年(使用開始から3~5年または製造から10年で寿命)
- ホイールナットの締め具合(締めすぎも緩めすぎも事故の原因)
- 異物による刺し傷やパンク(小石やガラス片などが原因)
スタッドレスタイヤに交換するシーズン前はもちろん、シーズン中も定期点検を心がけましょう。
所有する車に合うスタッドレスタイヤを選ぼう
スタッドレスタイヤを選ぶ際には、所有する車のタイプや走行環境などに合わせることが重要です。安全に冬のドライブを楽しむために、適した製品を選びましょう。
タイヤ1番.comでは、車種やタイヤメーカーに適したタイヤを検索できます。スタッドレスタイヤも取り揃えていますので、ぜひご覧ください。
