スタッドレスとチェーンはどちらを使う?選び方を状況別に解説!

冬場に安全運転を心がけるためには、スタッドレスタイヤとタイヤチェーンの正しい使い分けや併用が重要です。「どちらを使うべきか」は、走行環境や天候、道路規制などによって異なります。そこで本記事では、スタッドレスタイヤとタイヤチェーンの違いや併用すべきタイミング、選び方を解説します。
スタッドレスタイヤの基本情報については、以下のページにまとめてありますので、併せてご覧ください。

スタッドレスタイヤとタイヤチェーンの違い

スタッドレスタイヤとタイヤチェーンは、どちらも雪道や凍結路面で安全な運転をサポートする装備です。しかし使用に適した状況や装着のタイミングと方法、走行中のグリップ力と性能などに違いがあります。
項目 | スタッドレスタイヤ | タイヤチェーン |
使用に適した状況 | 積雪・凍結が続く地域を走行するとき | 突発的な大雪や一時的な凍結のとき |
装着のタイミング | 初雪の1か月前〜冬場 | 雪道や凍結路面に入る直前 |
装着方法 | 業者への依頼や自分自身で、 ノーマルタイヤから交換する | 手動でタイヤに装着する |
走行性能 | 圧雪路面や軽い凍結路面に対応する | 深い雪道やアイスバーンでも対応する |
使用に適した状況
スタッドレスタイヤは、冬場に頻繁に積雪や凍結が発生する地域で走行する場合に適しています。常にスタッドレスタイヤを装着しておくことで、急な積雪や凍結に慌てなくて済むからです。
タイヤチェーンは、突然の大雪や一時的な凍結に対応する場合に適しています。年に数回しか雪道や凍結路面を走行しないなら、必要なときだけ装着できるタイヤチェーンが便利です。
装着のタイミングと方法
スタッドレスタイヤを装着するタイミングは、初雪が予想される1か月前頃です。ノーマルタイヤからの交換が必要です。本格的に雪が降る時期になると、タイヤ販売店や整備工場の予約が混雑します。
タイヤチェーンを装着するタイミングは、雪道や凍結路面を走行する前です。急な積雪や凍結の発生、チェーン規制の発令などに応じて、走行の直前や最中に停車し、手動で取り付けます。
走行中のグリップ力と性能
スタッドレスタイヤは、低温環境に耐えられる柔らかいゴムと深いブロック状の溝で設計されているため、雪や氷を掴むグリップ力が高く、圧雪路面や軽い凍結路面に対応できます。
タイヤチェーンは、金属やゴムの素材で製造されたチェーンで路面との摩擦力を高めるため、スタッドレスタイヤよりもグリップ力が高く、深い雪道やアイスバーンでも対応できます。
スタッドレスタイヤとチェーンを併用すべきタイミング

通常は、スタッドレスタイヤだけで走行したり、ノーマルタイヤにチェーンを付けて走行したりします。しかし法規制や天候、タイヤの劣化状態によっては、安全運転を確実にするためにスタッドレスタイヤとチェーンを併用すべきです。
チェーン規制が発令された時
チェーン規制が発令された時は、ノーマルタイヤはもちろん、スタッドレスタイヤにもチェーンの装着が必須です(※1)。
大雪による通行止めを防ぐために、積雪量の多いエリアの国道や高速道路にはチェーン規制区間が指定されています。チェーン規制は道路交通法に基づいた規則で、違反に対しては罰則が定められています。(※2)。
したがって冬場にチェーン規制区間を走行する場合は、スタッドレスタイヤの装着に加えて、チェーンを積んでおくと安心です。
※1参照元:国土交通省「チェーン規制について」(https://www.mlit.go.jp/road/bosai/fuyumichi/tirechains.html)
※2参照元:e-GOV法令検索「道路交通法」(第71条第6項)(https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105)
大雪が予想される時
チェーン規制区間を走行するときだけではなく、大雪が予想される時もスタッドレスタイヤに加えてチェーンも準備しておくと安全性が高まります。
スタッドレスタイヤは圧雪アイスバーン(圧雪路面)やブラックアイスバーン(軽い凍結路面)を走行できますが、深い雪道やミラーバーン(鏡面圧雪路面)では空転やスリップの危険性があります。グリップ力が低下した状態で走行を続けるとスリップしたり、坂道で立往生したりしてしまうのです。
したがって、天気予報で「大雪注意報」や「大雪警報」が出ているときはチェーンを車内に積み、いつでも停車して装着できるようにしておくことが重要です。
スタッドレスタイヤの劣化が進んでいる時
たとえ深い雪道でなくても、スタッドレスタイヤの劣化が進んでいる時はチェーンを併用すべきです。
一般的なスタッドレスタイヤの寿命は、3~5年程度です。タイヤのゴムは未使用でも経年劣化していくため、グリップ力が低下していきます。グリップ力が低下した状態では、浅い雪道や軽い凍結路面を走行する際でもスリップの危険性があるのです。
ゴムの劣化が心配な場合は、チェーンを併用することでグリップ力を確保することが可能です。スタッドレスタイヤの寿命については、次の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

スタッドレスタイヤの選び方

スタッドレスタイヤを選ぶ際は、車種に合うサイズやコストパフォーマンス、メーカーの信頼性を考慮することが大切です。所有する車に合う製品を選ぶことで、コストを抑えながら安全運転ができます。
車種に合うサイズ
適したタイヤのサイズは、軽自動車やコンパクトカー、セダン・ミニバン、SUVなどの車種によって異なります。
サイズは、タイヤの側面に「175/65R14」(コンパクトカー向け)や「215/65R16」(SUV向け)などと表記されています。車種に合わないサイズのタイヤでは、ハンドリングやブレーキ性能に悪影響を与えます。走行中にカーブでふらついたり、ボディを損傷したりする恐れがあり、大変危険です。
車種に合うタイヤのサイズは、タイヤのメーカーや販売店などの公式サイトで確認できます。
コストパフォーマンス(値段・走行性能・寿命のバランス)
スタッドレスタイヤの製品によって値段・走行性能・寿命のバランスが異なりますので、コストパフォーマンスを検討しましょう。
安価なタイヤを選ぶと初期費用が抑えられますが、走行性能が低くて寿命が短い製品もあります。一方で、グリップ力や耐久性に優れる製品は本体価格が高い傾向にあります。
予算や冬場の走行距離、保管場所などを考慮して、自分が求めるコストパフォーマンスの製品を選ぶことが重要です。
メーカーの信頼性
スタッドレスタイヤを購入する際は、信頼性の高いメーカーの製品を選ぶことも重要です。製造技術が高く、品質管理が徹底しているタイヤメーカーなら、安定した性能を期待できます。
スタッドレスタイヤを製造販売している主なメーカーをご紹介します。
- 国内メーカー:ブリヂストン、ヨコハマタイヤ、ダンロップ、トーヨータイヤ
- 海外メーカー:ミシュラン、グッドイヤー、コンチネンタル、ピレリ、ノキアン
スタッドレスタイヤの製品を比較する際は、消費者の口コミや第三者機関の評価などが参考になります。スタッドレスタイヤの選び方については、次の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

タイヤチェーンの選び方

タイヤチェーンを選ぶ際は、車種に合うサイズや素材、装着のしやすさを確認しなければなりません。急な天候の変化でも安全運転ができるように、簡単に装着できて高い性能を発揮する製品を選びましょう。
車種に合うサイズ・形状
適したタイヤチェーンのサイズ・形状は、車種によって異なります。サイズ・形状が合わないと、車体に干渉する恐れがあるのです。
チェーンの形状 | メリット | デメリット |
はしご型 | グリップ力が強い 価格が安い | カーブで滑りやすい 騒音・振動が大きい |
亀甲型 | 直進とカーブに対応できる はしご型よりも乗り心地が良い | 価格が高い 装着に手間がかかる |
分離型 | 簡単に装着できる 軽量でコンパクトである | 深い雪道や凍結路に弱い 耐久性が低い |
ネット型 | 振動・騒音が少ない 簡単に装着できる | 深い雪道や凍結路に弱い 価格が高い |
タイヤチェーンを装着できない車種もありますので、所有する車の取扱説明書を確認することも重要です。
素材(金属・ゴム・布)
タイヤチェーンの主な素材は金属・ゴム・布で、メリット・デメリットが異なります。
チェーンの素材 | メリット | デメリット |
金属 | グリップ力が強い 耐久性が高い | 振動・騒音が大きい 装着に手間がかかる |
ゴム | 振動・騒音が少ない 軽くて取り付けやすい | 金属製よりグリップ力が弱い 価格が高い |
布 | 軽量でコンパクトである 簡単に装着できる | 耐久性が低い 深い雪道や凍結路面に対応しない |
雪道や凍結路面を頻繁に走行する場合は、金属・ゴム製のタイヤチェーンを選択してください。
装着のしやすさ
優れたタイヤチェーンでも、いざという時に自分で装着できなくては性能を発揮できません。寒い季節に降雪の中でチェーンを装着する作業には、ストレスがかかります。
装着のしやすいタイヤチェーンの条件は、以下の通りです。
- ジャッキアップが不要である
- ワンタッチで着脱できる
- 自動締め付けの構造である
- 軽くて扱いやすい素材である
冬場を迎える前に、メーカーの配信している動画を視聴したり、自宅で練習したりすることが重要です。
スタッドレスとチェーンによくある質問

スタッドレスタイヤとタイヤチェーンの使用を検討する際は、法規制や耐用年数、夏用タイヤ(ノーマルタイヤ)との併用などに関する疑問を抱くものです。よくある質問を集めましたので、回答をご紹介します。
法規制(タイヤ規制・チェーン規制)に対応できますか?
スタッドレスタイヤとタイヤチェーンでは、法規制に対応できる範囲が異なります。
タイヤの種類 | 冬用タイヤ規制 | チェーン規制 |
スタッドレスタイヤ | 対応できる | 対応できない (チェーンの装着が必要) |
タイヤチェーン | 対応できる | 対応できる |
したがって、スタッドレスタイヤで走行する場合に、チェーン規制の発令に対応するためには、車内にタイヤチェーンを積んでおくことが必要です。
耐用年数はどれくらいですか?
一般的なスタッドレスタイヤの耐用年数は、3~5年程度です。未使用であっても、5年以上経過したタイヤのゴムは劣化してしまいます。
タイヤチェーンの耐用年数は、素材によって異なります。
- 金属チェーン:5~10年程度(500~1000㎞程度)
- ゴムチェーン:3~5年程度(300~500㎞程度)
- 布チェーン :1~2年程度(100~200km程度)
ただし、スタッドレスタイヤとタイヤチェーンを使用する環境や頻度、保管状態などによって耐用年数は変化しますので、定期的な点検が重要です。
夏用タイヤ(ノーマルタイヤ)とチェーンの併用でも大丈夫ですか?
はい、浅い雪道や一時的な凍結路面であれば、夏用タイヤ(ノーマルタイヤ)にチェーンを装着して走行できます。冬用タイヤ規制やチェーン規制時であっても、チェーンを装着することで走行が可能です。
ただし、夏用タイヤ(ノーマルタイヤ)のゴムは低温環境の走行を想定して設計されていません。深い雪道やアイスバーンを走行する際は、チェーンを装着していても制動距離が伸びる恐れがあります。
緊急時を除いて、冬場にはスタッドレスタイヤを基本的に使用し、必要に応じてチェーンを併用するほうが安心です。
状況に応じてスタッドレスとチェーンを使い分けよう
冬場でも安全運転を行うためには、スタッドレスタイヤとタイヤチェーンの違いや選び方を把握したうえで、状況に応じて使い分けることが重要です。雪道や凍結路面ではスタッドレスタイヤを使用し、チェーン規制時や豪雪時にはチェーンを併用しましょう。
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