スタッドレスタイヤの空気圧はノーマルと同じで良い!高めに設定する場合とは?

冬場は、気温の変化でタイヤ内の空気圧が変動しやすいので、「スタッドレスタイヤの空気圧は高め、低めのどちらに設定するのか」迷ってしまいますよね。
スタッドレスタイヤもノーマルタイヤ同様に、空気圧はカーメーカー指定空気圧に調整するのが良いとされています。
しかし、場合によっては空気圧を高めに設定するほうが良い場合もあるのです。
そこでこの記事では、スタッドレスタイヤの適切な空気圧について紹介。空気圧の確認と調整方法についても解説します。
空気圧とは?

空気圧とは、タイヤに充填されている空気の圧力のことで、タイヤの性能に大きく関わるので確認することが大切です。
また、すべての車には「指定空気圧」と言われる数値があり、それぞれの車種によって違う数値の指定空気圧があります。
タイヤの空気圧は、給油口付近や運転席側のドア付近に張られているシールに記載されており、前輪と後輪で空気圧の数値が違うこともあります。
また、空気圧の単位はkPa(キロパスカル)と表記されているので、確認してみてください。
空気圧の重要性

空気圧が適正な状態でない場合、タイヤの性能やパンクなどの安全性や寿命を縮めてしまい、タイヤが持っている性能を発揮できません。
また、冬はタイヤの空気を入れるバルブ周りに雪や氷が凍結して、バルブを押す力が働き、緩むことで空気が漏れることがあるので注意が必要です。
タイヤの空気は、自然に漏れることもありますが、経年劣化や錆による錆や歪み、ゴムの劣化が主な原因とされており、定期的に点検する必要があります。
スタッドレスタイヤの空気圧の適正値

タイヤ空気圧適正値は、車種ごとにメーカーが指定している車両指定空気圧と同じです。
タイヤサイズが同じでも、車種によって車両指定空気圧は異なる場合があり、また、同一車種に装着されているタイヤサイズが同じであれば、タイヤの銘柄が変わっても車両指定空気圧は同じです。
空気圧は自然に漏れもあるので、車両指定空気圧の基準の0~+20kPaの範囲で調整や管理することを推奨しています。
ロードインデックスと空気圧の関係
ロードインデックス(LI)とは、タイヤの負荷能力を表す指数で、タイヤには負荷能力の上限があります。「ロードインデックス」は、空気圧によって最大負荷能力である荷重が変わります。
以下では、軽自動車のホンダN-BOXの純正タイヤサイズを例に紹介します。
155/65R14 75Sの場合はロードインデックスは「75」となり、これによる最大負荷能力は387kgです。
ホンダN-BOXの純正タイヤの空気圧は前輪240kPaなので負荷能力は387kg、後輪230kPaなので負荷能力は375kgとなります。
ブリヂストンタイヤサイトにて空気圧別負荷能力対応表があるので、参考にしてみてください。
空気圧別負荷能力対応表 – タイヤ交換 – タイヤを知る(乗用車用) – 株式会社ブリヂストン (bridgestone.co.jp)
スタッドレスタイヤで高速道路を走行する場合
高速道路は、一般道よりもスピードが出る状況のため、「高速道路を走行する際には、空気圧を高めに設定すると良い」と耳にしたことがあるのではないでしょうか。
しかし、スタッドレスタイヤで高速道路を走行する際も、カーメーカー指定空気圧で走行するのが安全とされており、空気圧を高めに設定する必要はありません。
また、空気圧が低いまま走行すると、ハンドルを取られたり、タイヤに負荷がかかるので、高速道路を走行する前には、空気圧の点検をし、指定空気圧にすることで安心安全に走行できます。
スタッドレスタイヤでインチアップする場合
インチアップとは、タイヤの外径を変更せず、リム径を大きくするサイズ変更のことで、ドレスアップとして人気の高いカスタムです。
インチアップした場合の空気圧は、高めに設定する必要があり、インチアップすることでタイヤの扁平率が小さくなり、高めに空気圧を入れないとタイヤが車体の荷重に支えられなくなります。
スタッドレスタイヤでインチダウンする場合
インチダウンとは、タイヤの外径を変更せずに、リム径を小さくするサイズ変更のことで、インチダウンすると、タイヤの厚みが太くなり面積が増えることで、タイヤに負担がかかるので、空気圧を高めに入れる必要があります。
軽自動車と普通自動車の空気圧の違いは?
普通自動車とは違い、小回りや細い道でも走行できる軽自動車ですが、普通自動車と軽自動車の空気圧はどのくらいなのでしょうか。
車の空気圧は軽自動車、普通自動車問わず、カーメーカーの指定空気圧があるので、それに従うようにしましょう。軽自動車だからと言って、空気圧を低めや高めに設定する必要はありません。
空気圧が低すぎても高すぎても良くない理由

タイヤの空気圧は、車の運転性能や安全性に大きな影響を与え、空気圧が適切な状況でないとさまざまなトラブルが起こります。
そこでここでは、タイヤの空気圧が低すぎる場合と高すぎる場合に起こる問題を紹介します。
低すぎる場合
空気圧が不足していると、タイヤの接地面がつぶれて両端に負荷がかかり、これによって起こるトラブルがあります。
- 燃費が悪くなる
- 偏摩耗が起こる
- パンクしやすくなる
燃費が悪くなる
空気圧不足によって、タイヤが変形し接地面積が大きくなることで転がり抵抗が増えタイヤを転がすために通常以上のパワーが必要になり、燃費が悪くなります。
偏摩耗
タイヤと路面の接地面が増え、全体が均等に摩耗せず、偏摩耗を起こし、タイヤの寿命を短くします。
パンクしやすくなる
空気圧が低いまま走行すると、タイヤが波打つ「スタンディングウェーブ現象」が起こる可能性があり、タイヤが不規則に揉まれる状態になり、パンクやバーストする危険性があります。
高すぎる場合
空気圧過多によって、タイヤの中央部分が盛り上がって接地面が減り、これによって起こるトラブルがあります。
- 偏摩耗が起きる
- スリップしやすくなる
- 外傷が増える
偏摩耗
偏摩耗は空気圧が高すぎる場合にも起きます。空気圧が高すぎると、タイヤの中央部分に負荷がかかるので摩耗を起こします。
タイヤ中央部分の摩耗は、タイヤローテーションでも対応できないので、タイヤ交換することになり、大きな出費になる可能性があるのです。
スリップしやすくなる
空気圧が高すぎると、タイヤと路面の接地面積が減り、タイヤの踏ん張る力がなくなりタイヤがスリップする可能性があります。
外傷が増える
タイヤの空気圧が高すぎると、クッション性がなくなり衝撃が吸収できなくなります。そのため、外部からの衝撃に弱くなりダメージを受けやすくなります。
空気圧の確認と調整

タイヤの空気は使用の有無に関わらず、自然に抜けるので定期的な空気圧点検が必要です。そこで、ここでは空気圧の確認と調整の仕方を紹介します。
空気圧の確認
タイヤの空気圧はエアゲージという空気圧測定器を使用してチェックします。
このエアゲージはカー用品店やネットなどで手軽に購入でき、身近にあるガソリンスタンドにも置いてあるので気軽に空気圧をチェックできます。
そこでエアゲージを使用してタイヤの空気圧をチェックする手順を紹介するので、参考にしてみてください。空気圧の確認をするには以下のような手順で確認します。
- 指定空気圧を把握する
- エアバルブのキャップを外す
- エアゲージ(空気圧計)で計測
- 空気圧が不足していたら充墳する
- エアバルブのキャップを締める
空気圧の調整
次に、空気圧を調整する際の注意点を紹介します。
- タイヤが冷えているときに点検する
- 空気圧の上限は10%までにする
タイヤが冷えているときに点検する
タイヤが温かいまま測定すると、内部の空気が膨張して正確な空気圧を測定できないため、日が沈んでいる朝や夜、運転前などに測定すると良いでしょう。
空気圧の上限は10%までにする
基本的に指定空気圧通りに入れることが良いとされていますが、空気圧は自然に漏れることを考えて、指定空気圧を基準に0~+20kPaの範囲で調整し、空気圧の上限は10%までにすると良いでしょう。
空気圧の調整ができる場所

タイヤの空気圧を調整できる場所は、主に以下の場所でできます。
- カー用品店
- ガソリンスタンド
- ディーラー
- タイヤ専門店
- 自動車整備工場
このように、車に関連する場所では空気圧点検を行ってくれます。
また、空気圧点検だけの依頼であれば、無料で行ってくれる場所がほとんどですが、なかには有料になる場所もあるので、事前に確認が必要です。
店舗によって、窒素ガスを入れられる場所もあり、窒素を入れることで、通常の空気よりも空気圧が下がりにくくなりますが、いくらかの費用がかかります。
自分で空気圧を調整する場合
空気圧を業者に依頼する以外にも、自分で空気圧を調整できるので紹介します。
まず空気圧を調整するには空気圧充墳機が必要で、大きく分けてエアタンク型と据え置き型の2種類があり、ガソリンスタンドの一角にセルフで設置してあります。
エアタンク式空気充墳機
エアタンク式空気充墳機は、+と-のボタンで調整し、+を押すと空気が入り、-を押すと空気が抜ける仕組みになっており、手動で微調整する必要があります。
据え置き型空気充墳機
エアタンク式とは違い、空気圧を指定して注入できるので、手動での微調整が不要になり、エアタンクよりも簡単にできます。据え置き型でも「ダイヤル式」と「デジタル式」があります。
ダイヤル式
メーターの針を指定空気圧に合わせるために、メーター横のダイヤルを回し、ホースにタイヤバルブを押し当てると空気が入り音が鳴り、音が鳴りやんだら完了です。
デジタル式
デジタル表示されている、指定空気圧に合わせてホースをタイヤバルブに押し当てると、自動的に空気圧が調整され、終了表示が出れば完了です。
空気圧を窒素ガスで入れる
店舗によっては窒素ガスをおすすめしている場合もあります。
その理由として、窒素ガスは温度変化に強い特徴があり、水分がほとんど含まれていないので、温度変化による空気圧の変動が少ないとされているためです。
また、空気圧が低下しにくいことで燃費への影響を抑えられます。
自宅で空気圧を入れる場合
セルフで空気圧を入れる際は、身近にあるガソリンスタンドで入れる場合が多いのではないでしょうか。
しかし、自宅でも自分でタイヤに空気を入れることが可能で、必要な道具も、空気圧ゲージと空気入れがあれば簡単に入れられます。
空気圧シミュレーションツール

ここでは、代表的なタイヤメーカーのダンロップタイヤとヨコハマタイヤが出している、空気圧シミュレーションツールを紹介するので、参考にしてみてください。
ダンロップの空気圧シミュレーション
車のタイプと都道府県、最後に空気圧を入れた時期を入力すると、使用しているタイヤの空気圧が適正かわかる簡易的なシミュレーションです。
タイヤの空気圧シミュレーション【DUNLOP】ダンロップタイヤ 公式
ヨコハマタイヤのタイヤ変更時の空気圧シミュレーション
使用している車の標準装着タイヤサイズと車両指定空気圧、変更したいタイヤサイズを入力すると、タイヤサイズ変更時の推奨空気圧が参照できます。
空気圧検索「フォーム」- ヨコハマタイヤ [YOKOHAMA TIRE] (y-yokohama.com)
スタッドレスタイヤの保管時の空気圧

タイヤを交換する際に、車体から外してそのまま保管していませんか。
スタッドレスタイヤに限らず、タイヤ交換をしてタイヤを保管する際は、指定空気圧の半分まで空気を抜いて保管しておくと良いでしょう。
指定空気圧のまま保管すると、内圧でゴムに負担がかかる可能性があり、タイヤを長持ちさせるためには減圧しておきましょう。
適正な空気圧で快適なドライブを楽しもう!
冬場に必要になるスタッドレスタイヤですが、ノーマルタイヤと同じように、カーメーカーが指定している空気圧に調整し、必要以上に空気圧を高めに入れたり、空気圧が低いまま走行すると、偏摩耗を起こすなど、タイヤの寿命を縮めてしまうので、適切な空気圧で調整することが大切です。
冬場は、寒さによってタイヤ内の空気が収縮し、空気圧が下がります。
そのため、タイヤの空気圧を適切に調整し、定期的に空気圧を点検し、安全で快適なドライブを楽しみましょう!