タイヤの種類と特徴をくわしく解説!季節・走行環境・車種に合った失敗しない選び方

自動車にはタイヤが欠かせませんが、季節や走行環境、車種によって適した種類が異なります。そこで本記事では、タイヤの基本的な構造と走行性能、種類について詳しく解説します。
タイヤの基本的な構造と走行性能

適したタイヤの種類を選ぶためには、まず基本的な構造と性能を理解することが必要です。ここでは、ラジアル構造・バイアス構造、ドライ性能・ウェット性能・燃費性能・静粛性能について、詳しく解説します。
構造(ラジアル構造・バイアス構造)
自動車のタイヤの構造はラジアル構造とバイアス構造に分けられ、現在ではラジアル構造のチューブレスタイヤが主流です。
タイヤの構造 | 内部の骨組み(コード)の仕組み | 特徴 |
ラジアル構造 (チューブレスタイヤ) | 放射状(ラジアル方向)に配置されている | パンクしても空気が急激には抜けない 放熱性が高く、摩耗を抑えられる |
バイアス構造 (チューブタイヤ) | 斜め(バイアス方向)に配置されている | チューブを損傷しなければ、空気が漏れない 柔軟性が高く、衝撃に強い |
特に長距離運転や高速道路を走行する際は、パンク時のリスクを抑えられるラジアル構造のチューブレスタイヤが適しています。
走行性能(ドライ性能・ウェット性能・燃費性能・静粛性能)
タイヤの種類によって、走行性能が異なります。
- ドライ性能 :晴天時におけるグリップ力
- ウェット性能:雨天時の制動力や排水性
- 燃費性能 :タイヤの転がりやすさ
- 静粛性能 :走行中の摩擦音を抑える力
- 耐摩耗性能 :路面との摩擦による摩耗に耐える力
自動車を運転する頻度や同乗者、予算などによって、重視したいタイヤの走行性能を選ぶことが重要です。
季節別に見るタイヤの種類

自動車を運転する季節によって路面の状態が変化するため、適したタイヤの種類も違います。ここでは、夏タイヤ(ノーマルタイヤ)とオールシーズンタイヤ、冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)の特徴や適した路面の状態を解説します。
夏タイヤ(ノーマルタイヤ)
夏タイヤ(ノーマルタイヤ)は夏だけではなく、路面に雪や氷が発生しない春から秋に適した種類です。
- 硬めのゴムで設計され、ドライ路面やウェット路面の走行に適している
- 夏場の高温環境でも、走行性能を維持できる
- 気温が低くなるとゴムが硬化して、グリップ力が落ちてしまう
雪道や凍結路でなければ冬場も使用できますが、寒冷地では冬タイヤへの履き替えが必要です。
オールシーズンタイヤ
オールシーズンタイヤは、一年を通じて使用できる種類です。
- 夏タイヤと冬タイヤの中間程度の硬さで、ドライ路面・ウェット路面、浅い雪道で走行できる
- 夏タイヤから冬タイヤに履き替えるコストを削減できる
- 凍結路面や深い雪道で使用すると、スリップや立ち往生のリスクがある
平均気温が高い地域や積雪量の少ない都市部などの場合は、オールシーズンタイヤを選択すると経済的です。
冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)
冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)は、初雪の1か月前から冬の間に適した種類です。
- 低温でも柔らかさを保つゴムと深い溝、細かい切れ込みで、凍結路面や雪道でもグリップ力や排雪性能を維持できる
- 高温環境(春~秋)で使用すると摩耗が進んだり、走行性能が低下したりする
- 道路交通法に基づいて、凍結路面や雪道ではスタッドレスタイヤやチェーンの装着が義務付けられている(※1)。
スタッドレスタイヤを夏に履きつぶすリスクについては、次の記事をご覧ください。

車種別に見るタイヤの種類

適したタイヤの種類は、車種によっても変わります。軽自動車やミニバン、SUVといった車種の特徴を把握し、必要な性能のあるタイヤを選ぶことが重要です。ここでは、車種に適したタイヤの種類の選び方をご紹介します。
軽自動車用のタイヤ
耐摩耗性能・静粛性能・燃費性能の高いタイヤが、軽自動車には適しています。
- タイヤのサイズが小さいため回転数が多くなり、摩耗しやすい
- ボディが薄く軽いため、走行時のノイズや振動が目立つ
- 近場の通勤や買い物などで日常的に使用する
軽自動車には摩耗に強く、静かで、経済的なタイヤを選ぶことで、快適な運転がしやすくなるのです。
ミニバン用のタイヤ
偏摩耗性能と耐荷重性能、安定性のあるタイヤが、ミニバンには必要です。
- 車高と重心が高くふらつきやすいため、偏摩耗が起こりやすい
- 定員が6~8人と多く、荷物を載せるため、タイヤに負荷がかかる
- 長距離の移動や旅行に利用されるため、乗り心地が重視される
ミニバンで快適なドライブを楽しむためには、偏摩耗と荷重に耐えられるタイヤが適しています。
SUV用のタイヤ
SUVに適したタイヤは、「オンロード重視かオフロード重視か」によって異なります。
- オンロード:静粛性や安定性の高いタイヤ
- オフロード:泥道や砂利道などの走破性が高いタイヤ
ミニバンと同様に車高・重心が高く、重量があるため、偏摩耗性能や耐荷重性能の高さも重要です。
走行環境別に見るタイヤの種類

走行環境によっても、適したタイヤの種類は異なります。大まかに2種類(舗装されたオフロード用のタイヤと未舗装のオフロード用のタイヤ)に分けられます。それぞれの違いを確認しておきましょう。
オンロードタイヤ(コンフォートタイヤ・エコタイヤ・スポーツタイヤ)
オンロードタイヤは、舗装された一般道路や高速道路の走行を目的とした種類です。
- コンフォートタイヤ:乗り心地の快適性や静粛性が高い
- エコタイヤ :燃費性能と安全性が高い
- スポーツタイヤ :運動性能(急発進・急加速・コーナリングなど)が高い
以上の通り、同じオンロードを走行する際でも、重視したい走行性能によって適したタイヤが異なります。
オフロードタイヤ(オールテレーン・マッドテレーン・ラギッドテレーン・ハイウェイテレーン)
オフロードタイヤは、舗装されていない泥道や砂利道、雪道などを走行できる種類です。
- オールテレーン :あらゆる地形(山道や泥道、雪道など)に対応できる
- マッドテレーン :泥道や砂利道などに対応できる
- ラギッドテレーン :オールテレーンとマッドテレーンの中間の性能を誇る
- ハイウェイテレーン:オフロードに加え、オンロードにも対応できる
走行するオフロードの状態やオンロードの走行頻度を想定した上で、オフロードタイヤを選びましょう。
特殊用途があるタイヤの種類

季節・車種・走行環境に適したタイヤだけではなく、特殊用途があるタイヤもあります。ここでは、ランフラットタイヤとテンポラリータイヤ、シーリングタイヤの用途と走行性能について解説します。
ランフラットタイヤ
ランフラットタイヤは、パンクしても所定の速度で一定の距離を走行できる種類です。
- サイドウォールが補強されており、空気圧がゼロになっても潰れにくい
- パンクしてから、時速80㎞で80㎞程度を走行できる(※2)
- コンフォートタイヤよりも価格が高く、乗り心地が硬い
高速道路を頻繁に走行する場合や長距離運転などに、ランフラットタイヤが適しています。
※2参照元:横浜ゴム「ランフラットタイヤはパンクした際に何km/hで何km走ることができるのか?」(https://www.y-yokohama.com/product/tire/faq/faq12)
テンポラリータイヤ
テンポラリータイヤは、パンク時のスペアタイヤとして使用できる種類です。
- 軽量で小型のため、トランクや車体の下に装備できる
- パンク時には、修理工場まで移動するために利用できる
- 長距離走行には向いていない
あくまで応急処置用のタイヤであるため、緊急時の一時的な利用だけに適しています。
シーリングタイヤ
シーリングタイヤは、釘などでパンクした小さな穴を自動的に塞ぐ種類です。
- パンクすると、内部に塗布されたシーリング材で穴を塞ぐ
- スペアタイヤに交換しなくても、修理工場まで移動できる
- シーリングの効果は一時的で、大きな損傷や側面の破損には対応できない
完全にはトラブルを防止できませんが、シーリングタイヤでパンクした際のリスクを低減できます。
タイヤの種類に関するよくある質問

上記のようにタイヤの種類は数多いため、選び方や寿命、ホイールに関する疑問を抱くものです。ここでは、タイヤの種類に関するよくある質問を集めましたので、回答をご紹介します。
どのようにタイヤを選べば失敗しませんか?
タイヤ選びに失敗しないためには、季節や車種、走行環境から総合的に検討することが重要です。
- 都市部と雪国では、平均気温や積雪量が異なる
- 軽自動車とSUVでは、必要なサイズと性能が異なる
- 夏と冬では、走行環境が異なる
予算や運転の頻度、用途などによっても、適したタイヤの種類は変わります。
タイヤの寿命はどれくらいですか?
走行の環境や頻度によりますが、一般的なタイヤの寿命は3~5年程度です。
- 走行中の摩耗によって、タイヤの溝が減っていく
- 未使用でも、製造から5年以上を経過すると性能が大きく低下する
- 走行距離にすると、ノーマルタイヤは3万㎞程度で、スタッドレスは1.5万km程度で寿命を迎える
タイヤの製造年数や残りの溝、使用年数から寿命を判断しましょう。スタッドレスタイヤの寿命については、次の記事をご覧ください。

タイヤホイールにも種類がありますか?
はい、タイヤホイールの種類によって素材やデザイン、製造方法、構造などが違います。
タイヤホイールの違い | 種類 |
素材 | スチール(丈夫で安い) アルミニウム(軽くておしゃれ) マグネシウム(軽量で強度が高いが、高価である) カーボン(軽量で強度が高いが、高価である) |
スポーク(支柱)のデザイン | スポークタイプ(支柱が中央から伸びている) フィンタイプ(支柱が細かい) メッシュタイプ(支柱が網目状に配置されている) ディッシュタイプ(支柱が皿のように見える) |
製造方法 | 鋳造(型に素材を流し込む) 鍛造切り出し(鋳造した素材を切削加工する) 金型鍛造(プレス機で圧縮して成型する) フローフォーミング(鋳造したベースを鍛造する) |
構造 | 1ピース(リムとディスクが一体で成形されている) 2ピース(リムにディスクが固定されている) 3ピース(アウターリムとインナーリム、ディスクから構成される) |
素材やデザイン、製造方法、構造の違いを把握した上で、希望条件に合うタイヤホイールを選びましょう。
季節・車種・走行環境に合うタイヤの種類を選ぼう!
タイヤの種類によって構造や走行性能が異なります。季節・車種・走行環境に合わせて、適したタイヤの種類を選びましょう。自分で判断できない場合は、タイヤの専門家に相談することが重要です。
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